コラム

屋根修理をDIYでやるリスクとは?転落・再発・費用増を防ぐためにプロに任せるべき理由

「少しくらいなら自分で直せるかも」「業者に頼むと高そうだから、まずDIYで様子を見てみようかな」と考えたことのある方は、おそらく少なくないでしょう。そう思われるのは自然なことです。屋根の修理は費用も時間もかかるイメージがありますよね。

ですが、屋根修理のDIYは一見ハードルが低そうに見えて、見えにくいリスクが数多く潜んでいます。転落事故、誤った補修による再発、火災保険の適用外になるケースなどが挙げられます。
この記事では、屋根修理のDIYがなぜ危険なのか、具体的に何が問題なのかをお伝えしていきます!DIYで対応できる範囲の現実的な限界と、プロに依頼した場合の費用感や業者選びのポイントまで、順を追って解説します。

屋根DIY作業の転落リスク

最初に、屋根に上がること自体の危険性についてです。

転落事故の実態

消費者庁のデータによると、はしごや屋根からの転落事故は一般家庭でも毎年多数報告されています。「ちょっと雨どいを確認するだけ」「瓦がずれていないか見るだけ」という軽い気持ちで屋根に上がり、滑落するケースが後を絶ちません。

高さ2〜3メートルであっても、転落すれば骨折や頭部への重篤なダメージにつながることがあります。屋根の高さは通常、それ以上です。

プロの職人が屋根の上で安心して作業できるのは、足場を組み、安全帯を装着し、命綱を使っているからです。逆に言えば、それらがない状態での屋根作業は、プロでも行いません。「安全帯さえあれば大丈夫」という発想も危険で、命綱を固定する場所を正しく選ばなければ、転落時に体が振られてより大きなダメージを受けることもあります。

安全措置が十分に整ってからしか、プロであっても作業するべきではないのです。

屋根材の種類ごとの滑りやすさと踏み抜きリスク

屋根材によって、危険の中身も変わります。

スレート屋根(薄い板状のセメント系屋根材)は、経年劣化によって脆くなっています。人が乗ると、その重みで割れてしまうことがあります。「踏んで割ってしまった」では済まず、足が屋根を突き破って落下するリスクもゼロではありません。

↓スレート屋根はこういった外観です。築20年以上のお住まいで広く採用されています。

トタン屋根は表面が滑りやすく、特に雨上がりや朝露で濡れている状態では、ほんの少し傾斜があるだけで足が滑ります。ガルバリウム鋼板などの金属系屋根材も、勾配がある状態では足場なしで安定して立ち続けることが難しく、プロでも足場なしでの作業は避けるのが原則です。

安全作業に必要な装備の現実的なコスト

足場の設置だけで数万円のコストがかかります。
さらに安全帯・命綱・適切な靴・ヘルメットを揃えると、材料費より装備費の方が高くなることもあります。

「安全のための費用」を真剣に考え始めると、最初から専門業者に頼む方がトータルで安いという結論になることが多いのです。装備を揃えた場合でも、使い方を熟知していなければ意味がないといえるでしょう。

DIY補修が招く技術的な失敗と二次被害

転落リスクを乗り越えたとしても、次に待ち受けているのが技術的な失敗のリスク。「直ったように見える」と思っても、屋根の構造を知らずに行ってしまうことで、余計に状況を悪化させてしまうケースが多くあります。

⚠️コーキング補修の失敗パターン

コーキングは、屋根において接合部を埋める充填剤のことです。防水を担っています。
ホームセンターでも購入でき、一見簡単そうに見えますが…プロが行う前には必ず「素地の清掃」と「プライマー処理(接着剤の下塗り)」が入ります。また、コーキングを打って良い箇所といけない箇所(連鎖的な雨漏りを引き起こす・水の抜け道を埋めてしまう)もあり、屋根全体の仕組みを知っていないと、無駄に悪化させてしまうリスクがあるのです。

充填前の下処理を省略すると、コーキングは数ヶ月で浮いてきたり剥がれたりします。それだけではありません。古いコーキングの上から重ね打ちすると、元々の浸水経路を複雑に変形させてしまい、後から専門家が調査しても原因特定が難しくなることがあります。「自分で直そうとした形跡があると、調査に時間がかかって費用が上がった」というケースを、当社でも何度か経験しています。

一般向けのシリコンコーキングと屋根専用品では耐候性・耐熱性が大きく異なることも。塗装に適さないコーキング・塗装できるコーキングなど、色々な要素を考慮しなければいけない点もハイリスクです。

塗装のよくある手順ミス

サビ止め塗装や防水塗装も、手順を誤ると効果がほとんど出ません。最もよくあるのが、ケレンなどの下処理をしない・適切にしないまま塗料を重ね塗りするケースです。見た目はきれいになったように見えますが、サビは内部で進行し続けている可能性があります。

乾燥時間を守らずに次の工程に進むと、塗料同士の密着が悪くなり、数ヶ月で膜が浮いたり剥がれたりします。下地処理なしでは、どんなに高品質な塗料を使っても本来の性能が発揮されません。

誤補修が修理費用を押し上げるしくみ

DIYで状況を複雑にしてしまうと、プロが調査・修理する際の手間が増えます。本来なら部分修理で済んだはずの箇所が、誤補修の除去と再施工で費用が倍以上になることもあります。雨漏りなどのトラブルが起きていたと分かった場合には、正確な原因箇所が分かりづらくなることも実際にあります。

「最初からプロに頼んでいれば5万円で済んでいた」が、「DIYで試みた後にプロに頼んだら15万円かかった」という話は、珍しいことではありません。コストを抑えようとして始めたDIYが、結果的に費用増を招いてしまうのです。

雨漏りDIY修理の再発しやすい理由

雨漏りの原因特定の難しさ

雨漏りで厄介なのは、雨水が浸入する場所と室内に現れる場所が一致しないことが多い点です。天井のシミが発生している部屋の真上の屋根を直したつもりでも、実際の浸入口が別の場所にあれば、また漏れてきます。

雨水は防水シート(ルーフィング)の上を流れ、傾斜に沿って移動してから室内に滲み出てきます。棟板金(屋根の頂点を保護する金属板)の隙間から入った水が、10メートル以上移動して別の部屋の天井から落ちてくることもあります。原因の特定には、雨の状況や建物構造の知識が必要で、現地調査なしではプロでも断言することは難しいのです。

一時補修が根本解決にならないケース

市販の防水テープや補修パッチは、「雨水の出口」を塞ぐことはできても、浸入経路そのものは残っています。雨量が多い日、風向きが変わった日に、別の経路から再び漏れてくることがあります。その状態を放置すると、下地への水分浸透が続き、腐食の範囲がどんどん広がっていきます。

下地の劣化が表面補修で追いつかないケース

こちらの写真は、葺き替え工事の際に屋根材を捲り、穴の開いた防水シートが見えてきた場面です。

防水シート(ルーフィング)が破れていたり、下地の野地板(屋根材を支える木材)が腐食していたりする場合、表面をいくら補修しても根本的な解決にはなりません。しかしこうした下地のダメージは、DIYでは発見することも修理することも困難です。

「雨漏りを何度直しても再発する」という場合は、下地の問題を疑った方がよいかもしれません。早めに現地調査を受けて本当の原因を突き止めることが、最終的には一番の近道になります。

火災保険・工事保証への影響

あまり知られていないのですが、DIYで修理をしてしまうことで、本来使えるはずだった火災保険や工事の保証が効かなくなるケースがあります。

⚠️DIY修理が火災保険申請を妨げるケース

台風や強風で屋根が損傷した場合、火災保険(風災補償)が適用できる可能性があります。しかし損傷箇所をDIYで修繕してしまうと、「どこがどのように壊れたのか」という証拠が失われてしまいます。

保険会社は損傷の状態を確認して適用の可否を判断します。修繕済みの状態では、自然災害による損傷なのか経年劣化なのかを判断できず、申請が認められないことがあります。台風後などはまず写真で現状を記録し、専門店に相談してから申請の手順を踏むことが重要です。「直してから申請しようと思っていたのに」という後悔は、実際に多く聞かれます。

⚠️工事保証が無効になるリスク

以前に屋根工事を依頼していた場合、その工事に保証期間が設定されていることがあります。「工事後10年保証」などの条件には、多くの場合「第三者による施工・改修が行われた場合を除く」という旨が含まれています。

DIYで手を加えた時点で、その保証が無効になってしまう可能性があるのです。
新築時や前回の工事の保証書を確認し、まず施工業者に相談することをおすすめします。

DIYで対応できる現実的な範囲

ここまでリスクの話をしてきましたが、「では自分では何もできないの?」と思われた方のために、地上から安全に対応できる範囲もお伝えします!

地上から対応できる作業

屋根に上がらずにできることはいくつかあります。雨どいの詰まりを地面から届く範囲で除去することや、双眼鏡を使った地上からの目視点検も挙げられます。スマートフォンやカメラで屋根の状態を撮影して、専門店に確認を依頼することもできます。
いつから症状が出ていたか、どういった天候で雨漏りが見られるか、なども整理しておくと役立ちます。

室内での応急対応も大切です。雨漏り箇所の真下にバケツを置いたり、家財道具に養生シートをかけたり、天井の水濡れを拭き取ったりすることで、二次被害を最小限に抑えられます。

アスベスト含有屋根材を触る法的なリスク

屋根の上での作業は安全面・技術面のリスクに加え、法的な問題が絡む場合もあります。古い建物では石綿(アスベスト)を含む屋根材が使われているケースがあり、これを無資格で除去・加工することは法律で禁止されています。

材質を確認せずに手を触れないことが肝心。
特に2004年(平成16年)以前に施工された屋根材には、注意が必要です。

プロに依頼すべき症状と工事の種類

では、具体的にどのような状態になったらプロに相談すべきなのでしょうか?

専門家への相談が必要な症状

実際に雨漏りが発生している、棟板金の浮きやめくれが地上から確認できる、屋根材のひび割れや欠落が複数箇所に及んでいる。こういった状況は、早めに専門家に見てもらう必要があります。

苔や藻が屋根面に広範囲に繁殖している場合も、防水機能の低下が進んでいるサインです。築20年以上が経過していて一度もメンテナンスをしていないという方も、一度点検を受けることをおすすめします。築20年前後は、劣化症状が目に明らかになってくることが多く、メンテナンスが必要となる節目とも言えるのです。

症状の程度による工事の選択肢

⭐劣化がごく一部の箇所に限られていれば、コーキング補修や棟板金交換といった部分修理で対応できます。
費用の目安は数万円〜30万円程度です。

⭐旧塗膜が傷んだり、軽い劣化が広がっているものの屋根材自体は使える状態であれば、屋根塗装が選択肢になります。40〜80万円程度が目安で、防水機能を全面的に回復させる工事です。(使用塗料のグレードや面積によって大きく変動するため、あくまで目安としてお考えください。)

⭐劣化が進行しているものの屋根下地は健全な場合には、カバー工法(重ね葺き)が有効です。既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる工法で、廃材が少なく工期・費用を抑えやすいのが特徴です。費用目安はおよそ80〜150万円程度です。

⭐下地まで腐食が進んでいる場合は、すべて撤去する葺き替えが必要になります。

カバー工法により雨漏りを修理・予防した修理例

ここで、当社での実際の施工例をかんたんにご紹介致します。

こちらが施工前の屋根の様子。
ご相談いただいたきっかけは屋根材の落下でした。
こちらのお写真でも、右側の方に一枚剥がれた跡がお分かりいただけることと思います。
黄色い苔が目立っていることも少し気にされていたようで、今回のトラブルによりすぐにご相談をいただきました。

施工中

棟板金だけ撤去し、後の屋根材は土台として残します。
そこへ、25年以上の耐久性が見込める改質アスファルトルーフィング『タディスセルフ』を施工。
写真の紫のシートがタディスセルフです。

ルーフィングは、屋根の防水を担う最後の層です。
ルーフィングが経年劣化でボロボロになっていると、外から見て特に問題が無くても雨漏りに繋がります。

続いて谷部や軒先をカバーするように板金を取り付けます。
谷部は特に雨漏りの防止に気を遣っていますので、両脇を防水テープで補強しています。

そしてガルバリウム鋼板屋根材を葺いていきます。お客様には、ご相談の際に実際に屋根材を色々ご覧いただき、日射反射率に優れた明るいグレーカラーをお選びいただいています。表面の合金メッキが長年にわたって錆びを防ぐ屋根材です。

棟(屋根面が合わさるてっぺんの線)は、水で腐らない樹脂の下地を入れ、板金で仕上げました。今回は屋根修理の他にも、外壁のシーリング工事や防水工事も行わせていただき、全体で工期3週間の工事でした。

▷元記事:八王子市にて雨漏り修理・カバー工法〈屋根材が割れて落ちてきた〉

現地調査が工法選択の前提

同じ雨漏りでも、原因箇所・下地の状態・屋根材の種類によって最適な工事は全く異なります。「写真を見れば判断できます」という業者や、下から目で見ただけで不安を煽って来る業者には慎重になってください。

現地調査なしに断言できることは、実際にはほとんどありません。
無料で現地調査を実施している専門店は多いので、まずは相談から始めることをおすすめします。
当社も、雨漏り診断士の資格保持者による安心の現地調査をご提供しています。

プロに依頼する際の費用と業者選びについて

費用のことが気になって、つい「まずDIYで」と思ってしまう方も多いでしょう。
費用は工事の種類と状態によって大きく変わりますが、比較の視点を持っておくことが大切です。

信頼できる業者を選ぶ3つの視点

まず、現地調査を丁寧に行い、複数の工法をフラットに提案してくれる業者かどうかを確認してください。「葺き替え一択」「カバー工法しかやっていない」という業者は、お客様の状況より自社の都合で工事を決めている可能性があります。

次に、見積もりに使用する材料のメーカー・品番や保証内容などが明記されているか。「一式〇〇万円」だけで内訳がいっさいなければ、何に費用が発生しているかわかりません。そして、地元での施工実績と工事後のフォロー体制があるかどうかもポイントです。
他社との相見積もりを行った際、格段に安かったり、格段に高価な費用を出す業者にも注意が必要です。

当社では、工事中にLINEで施工写真をリアルタイムにご報告し、LINEをお使いでない方にはUSBで施工記録をお渡ししております。工事の見えない部分をきちんと見せることが、お客様の不安の軽減に繋がると考えております。

台風後に急増する訪問営業の見極め方

台風や大雨の後、「無料点検」を名目にした訪問営業の業者が急増することがあります。「今すぐ工事しないと大変なことになります」という言葉で即決を迫ってくる業者には、その場でサインせず、いったん持ち帰って考える時間を確保してください。

本当に緊急を要する屋根の状態というのは、実際にはほとんどありません。不安を煽る言葉が出てきたときほど、冷静になることが肝心です。まず地元の専門店にセカンドオピニオンを求めることを、強くおすすめします。

まとめ

屋根修理のDIYには、転落事故・誤補修による再発・火災保険申請への影響・工事保証の無効化という4つの主なリスクがあります。見えやすいのは転落のリスクですが、実はそれ以外の問題で最終的な費用が増えてしまうケースも多いのです。

DIYで安全に対応できるのは、地上からの目視確認・室内の養生・専門店への写真相談まで。
屋根の上での作業は、装備と経験のないままでは行わないのが鉄則です。

「気になる箇所を写真に撮って、専門店に相談する」。これが最も安全で、結果的に最もコストがかからない初動です。早めの一歩が、最終的な費用を数十万円単位で下げることに繋がるかもしれません。

当社は1976年の創業以来、八王子・多摩エリアで屋根工事を続けてまいりました。
現地調査・お見積もりは無料で承ります!「DIYで試してみたけど再発した」という段階でも、もちろんご相談いただけます。
大きな工事だけではなく、部分的な修理やコーキングの打ち替え、内装リフォーム等もお任せください。

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